2026年 ニューヨーク・東京進出に関わる制度変更まとめ(ビザ・税・最低賃金)
短い答え 直近12か月で影響が大きかったのは、日本・東京の4つの変更です。2026年10月1日に東京都の最低賃金が1,280円になり、同じ日に在留手数料が上がり、インボイスの経過措置が70%に下がりました。2026年4月1日以後に始まる事業年度からは、防衛特別法人税の申告も始まっています。ニューヨーク側では、2026年1月1日にNY市の最低賃金が時給17.00ドルになり、NY LLC透明化法が施行されました(対象は外国法人のLLCだけ)。H-1Bは2026年2月27日に賃金で重み付けする抽選に変わりました。10万ドルの支払い要件は、2026年10月時点では裁判所の命令で徴収が止まっています(いずれも2026年10月確認)。
最近12か月に何が変わったか(新しい順)
| 施行日 | 地域 | 分野 | 変更内容 | 影響を受ける人 |
|---|---|---|---|---|
| 2026-10-01 | 東京 | 最低賃金 | 東京都最低賃金が時給1,280円に | 東京で人を雇うすべての事業者 |
| 2026-10-01 | 日本 | 在留資格 | 変更・更新・永住許可の手数料を改定 | 日本で働く外国人と、その雇用主 |
| 2026-10-01 | 日本 | 税 | インボイス経過措置の控除率が80%から70%に | 免税事業者から仕入れる課税事業者 |
| 2026-09-18(署名日) | 米国 | ビザ | H-1B 10万ドルの布告を2027年9月21日まで延長(徴収は停止中) | H-1Bで人を呼びたい米国の雇用主 |
| 2026-08-24(提案) | 米国 | ビザ | DHSがH-1B上限対象の申請に103,265ドルの手数料を新設する規則案を公表 | H-1Bの雇用主 |
| 2026-06-14 | 日本 | 在留資格 | 「特定在留カード」の運用を開始 | 在留カードを持つ外国人 |
| 2026-06-08 | 米国 | ビザ | 連邦地裁が10万ドルの実施ガイダンスを取り消し | H-1Bの雇用主 |
| 2026-04-01以後に始まる事業年度 | 日本 | 税 | 防衛特別法人税(4%)が始まる | 法人税の納税義務がある法人 |
| 2026-02-27 | 米国 | ビザ | H-1B抽選が賃金で重み付けする方式に | H-1Bの登録をする雇用主 |
| 2026-01-01 | NY | 最低賃金 | NY市・ロングアイランド・ウェストチェスターで時給17.00ドル | NYで人を雇う事業者 |
| 2026-01-01 | NY | 会社設立 | NY LLC透明化法が施行(外国法人のLLCのみ) | 米国外で設立し、NYで事業登録したLLC |
| 2025-11-15 | NY市 | 飲食 | 飲食店の衛生検査・レター格付けの規則(第23章)を改正 | NY市の飲食店 |
東京の変更は具体的に何か?
最低賃金:2026年10月1日から時給1,280円
東京都最低賃金は、2026年10月1日から時給1,280円です(東京労働局、2026年10月確認)。前年度は2025年10月3日からの1,226円でした(東京労働局)。給与の設定が最低賃金を下回っていないかは、社会保険労務士に確認してもらってください。
在留手数料:2026年10月1日以後の申請から新しい額
在留資格の変更・在留期間の更新・永住許可の手数料が改定されました。2026年9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月以後でも改定前の額です(出入国在留管理庁)。在留資格の変更・更新をオンラインで申請する場合の手数料は、許可される在留期間によって次のように変わります(出入国在留管理庁、2026年10月確認)。
| 許可される在留期間 | 手数料(オンライン) | 決済手数料 |
|---|---|---|
| 3月以下 | 10,000円 | 330円 |
| 3月超6月以下 | 15,000円 | 330円 |
| 6月超1年未満 | 21,000円 | 330円 |
| 1年 | 27,000円 | 330円 |
| 1年超3年未満 | 42,000円 | 330円 |
| 3年以上5年未満 | 56,000円 | 550円 |
| 5年以上 | 65,000円 | 550円 |
- 窓口申請では、これまでどおり収入印紙で納めます。額はオンラインと異なるので、公式リーフレットで確認してください(出入国在留管理庁)。
- 永住許可の手数料も改定されています。額は同じリーフレットで確認してください。経済的な理由などで条件を満たす人は、永住許可の手数料が2万円に減額されます(出入国在留管理庁)。
特定在留カード:2026年6月14日に運用開始
在留カードとマイナンバーカードを一体にした「特定在留カード」の運用が、2026年6月14日に始まりました。地方出入国在留管理局では、6月15日から交付申請を受け付けています(出入国在留管理庁)。交付申請はオンラインでは受け付けていません(出入国在留管理庁)。
防衛特別法人税:2026年4月1日以後に始まる事業年度から
法人税額から年500万円を差し引き、残りに4%をかけた額を申告・納付します(財務省)。税額がゼロでも申告は必要です(e-Tax)。
インボイス経過措置:2026年10月1日から70%
免税事業者などから仕入れた分の仕入税額控除は、2026年10月1日から2028年9月30日まで70%になりました。それ以降は50%、30%と段階的に下がります(国税庁)。「2割特例」は、2026年9月30日を含む課税期間で終わります(国税庁)。自社にどう影響するかは税理士に相談してください。
参考:経営・管理ビザの厳格化(2025年10月16日、12か月の範囲の直前)
日本で起業する外国人経営者にとっては影響の大きい変更なので、範囲外ですが載せます。主な要件は次の4つです(出入国在留管理庁)。
- 資本金等が3,000万円以上
- 常勤職員を1人以上雇用(日本人、特別永住者、または「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格を持つ人に限ります)
- 申請者か常勤職員のどちらかが、日本語能力B2相当以上
- 経営・管理の経験3年以上、または修士以上の学位(博士・修士・専門職学位)
すでにこの在留資格で日本にいる人には、2028年10月16日までの経過措置があります(同上)。個別の申請は、申請取次の資格を持つ行政書士か弁護士に相談してください。
ニューヨーク・米国の変更は具体的に何か?
NYの最低賃金:2026年1月1日から
2026年1月1日から、NY市・ロングアイランド・ウェストチェスターでは時給17.00ドル、州のそれ以外の地域では16.00ドルです(ny.gov、2026年10月確認)。
NY LLC透明化法:2026年1月1日施行
報告が必要なのは、外国(米国外)の法律で設立され、NY州で事業の登録をしたLLCだけです。NY州や他州で設立したLLCは対象外です(NY州務省 FAQ)。
- 2026年1月1日より前に登録したLLC:2026年12月31日までに提出
- 2026年1月1日以後に登録したLLC:登録申請から30日以内に提出
- 毎年の提出が必要で、手数料は1回25ドルです。期限を30日以上過ぎると、州司法長官から1日最大500ドルの罰金を科されることがあります(同上)。
日本法人がNYにLLCを置く場合などは、NYの弁護士に該当するか確認してください。
H-1B:抽選方式の変更と10万ドル要件
- 賃金による重み付け抽選:2026年2月27日に施行され、この日以後の登録に適用されています。賃金水準の高い登録ほど選ばれやすくなりました(Federal Register、USCIS)。
- 10万ドルの支払い要件:布告は2025年9月21日に発効し、一部の新規申請に課されていました。2026年6月8日、マサチューセッツ連邦地裁が実施ガイダンスを取り消しました。7月24日には第1巡回区控訴裁判所が政府の執行停止の申し立てを退け、DHSは命令に従うとしています(USCIS)。
- 布告の延長:2026年9月18日、布告を12か月延長し、2027年9月21日までとする布告が署名されました(White House)。同じ日に、H-1B申請の審査強化を命じる大統領令も署名されています(White House)。DHSは、裁判所の命令が解除されれば徴収するとしています(USCIS)。
- 新しい手数料の規則案:2026年8月24日、DHSはH-1Bの上限対象の申請(修士以上枠を含む)に103,265ドルの手数料を課す規則案を公表しました。まだ提案の段階です(USCIS、2026年10月確認)。
状況が変わりやすい分野です。申請の前に、米国の移民弁護士に最新の状況を確認してください。
NY市の飲食店:検査規則の改正(2025年11月15日)
NY市保健局は、飲食店の衛生検査とレター格付けの規則(第23章)を改正し、2025年11月15日に施行しました(NYC Rules)。変更点の細かい内容は、同じページにある採択規則の本文で確認してください。
これから予定されている変更は?
| 予定日 | 地域 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 2026-12-31 | NY | 2026年より前に登録した外国法人LLCの透明化法の提出期限 | NY州務省 |
| 2027-01-01 | NY | 最低賃金は据え置き(NY市など17.00ドル、その他16.00ドル)。在宅介護職は20.00ドル/19.00ドルに引き上げ | ny.gov |
| 2027年3月〜(提案段階) | NY | 知事が2027年3月からの賃金調整の法案を提案 | ny.gov |
| 未定(規則案) | 米国 | H-1B上限対象の申請に103,265ドルの手数料(提案段階) | USCIS |
| 2027-04-01 | 日本 | 技能実習に代わる育成就労制度が始まる | 出入国在留管理庁 |
| 2027-04-01以後に始まる事業年度 | 日本 | 防衛特別法人税の中間申告が始まる | e-Tax |
| 2027-09-21まで | 米国 | 延長されたH-1B布告の期限(徴収は裁判の結果しだい) | White House |
| 2028-10-01 | 日本 | インボイス経過措置が50%に | 国税庁 |
| 2028-10-16 | 日本 | 経営・管理ビザの既存在留者向け経過措置が終わる | 出入国在留管理庁 |
進出する事業者が次にやること
- 給与を見直す:東京は1,280円、NY市は17.00ドルを下回っていないか確認します(社会保険労務士、NYの給与計算担当)。
- 外国人社員の手続き費用を予算に入れる:2026年10月以後の更新・変更の手数料を、会社が負担するか本人が負担するかを決めます。
- NYに外国法人のLLCがあれば、提出期限を確かめる:既存のLLCは2026年12月31日までです。
- 日本法人の申告に新しい税を入れる:防衛特別法人税(税額ゼロでも申告が必要)と、インボイス70%への切り替えを経理に反映します(税理士)。
- H-1Bを使う予定なら、申請直前に最新状況を確認する:米国の移民弁護士に相談します。
よくある質問
H-1Bの10万ドルは今払う必要がありますか?
2026年10月時点では、裁判所の命令で実施ガイダンスが取り消されており、DHSは命令に従うとしています(USCIS)。ただし布告自体は2027年9月21日まで延長されていて(White House)、命令が解除されれば徴収するとDHSは述べています。別に、103,265ドルの手数料の規則案も出ています(USCIS)。個別の案件は米国の移民弁護士に確認してください。
日本法人がNYに子会社を作る場合、LLC透明化法の対象になりますか?
報告の対象は「米国外の法律で設立され、NYで事業登録したLLC」です。NY州や他の州で設立したLLCは対象外です(NY州務省)。どの形で進出するかによって変わるので、NYの弁護士に確認してください。
9月に出した在留期間更新の許可が10月に出た場合、新しい手数料になりますか?
2026年9月30日までに受け付けられた申請は、許可が10月以後でも改定前の額です(出入国在留管理庁)。
NYの最低賃金は2027年に上がりますか?
2027年1月1日時点では据え置きと案内されています。NY市・ロングアイランド・ウェストチェスターは17.00ドル、その他は16.00ドルです(ny.gov、2026年10月確認)。2027年3月からの調整を知事が提案しているので、続報を確認してください。
防衛特別法人税は小さな会社にも関係しますか?
防衛特別法人税の額がゼロでも申告は必要です(e-Tax)。計算では法人税額から年500万円が差し引かれるため(財務省)、実際に納める税額が出ない会社もあります。自社が該当するかは税理士に確認してください。
今から日本で起業する外国人経営者に一番影響するのは何ですか?
2025年10月16日に厳しくなった経営・管理ビザの要件です。資本金等3,000万円以上、常勤職員1人以上などが求められます(出入国在留管理庁)。2026年10月からは、更新のたびにかかる在留手数料も上がっています(出入国在留管理庁)。
情報源
- 東京労働局「東京都最低賃金」 https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/_110744/conttop_00001.html
- 東京労働局「東京都最低賃金を1,226円に引き上げます(発効日は令和7年10月3日)」 https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/002373215.pdf
- 出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」 https://www.moj.go.jp/isa/01_00644.html
- 出入国在留管理庁「オンライン申請における手数料額及び手数料納付方法について」 https://www.moj.go.jp/isa/11_00107.html
- 出入国在留管理庁 手数料改定リーフレット https://www.moj.go.jp/isa/content/001469200.pdf
- 出入国在留管理庁「令和8年10月1日以降における在留許可手数料の減額措置又は免除措置について」 https://www.moj.go.jp/isa/10_00273.html
- 出入国在留管理庁「特定在留カード交付申請について」 https://www.moj.go.jp/isa/tokutei.html
- 出入国在留管理庁「特定在留カード交付申請はオンライン申請に対応していません」 https://www.moj.go.jp/isa/11_00101.html
- 出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html
- 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/ikusei_qa_00002.html
- 財務省「防衛力強化に係る財源確保のための税制措置(令和7年度税制改正)」 https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei2025/05.html
- e-Tax「防衛特別法人税の創設に関するご案内」 https://www.e-tax.nta.go.jp/topics/2026/topics_20260417.htm
- 国税庁「令和8年度税制改正特集(インボイス)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/index.htm
- 国税庁「令和8年10月1日からインボイス制度に係る経過措置が変わります」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0026004-066_02.pdf
- New York State "Minimum Wage Rate Schedule" https://www.ny.gov/new-york-states-minimum-wage/new-york-states-minimum-wage
- NY Department of State "Beneficial Ownership Disclosure FAQ" https://dos.ny.gov/beneficial-ownership-disclosure-frequently-asked-questions
- Federal Register "Weighted Selection Process for … Cap-Subject H-1B Petitions" https://www.federalregister.gov/documents/2025/12/29/2025-23853/weighted-selection-process-for-registrants-and-petitioners-seeking-to-file-cap-subject-h-1b
- USCIS "DHS Changes Process for Awarding H-1B Work Visas to Better Protect American Workers" https://www.uscis.gov/newsroom/news-releases/dhs-changes-process-for-awarding-h-1b-work-visas-to-better-protect-american-workers
- USCIS "Presidential Proclamation on Restriction on Entry of Certain Nonimmigrant Workers" https://www.uscis.gov/newsroom/alerts/presidential-proclamation-on-restriction-on-entry-of-certain-nonimmigrant-workers
- USCIS "DHS Proposes Additional H-1B Fee" https://www.uscis.gov/newsroom/news-releases/dhs-proposes-additional-h-1b-fee
- The White House "Restriction on Entry of Certain Nonimmigrant Workers"(2026年9月18日) https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2026/09/restriction-on-entry-of-certain-nonimmigrant-workers-faad/
- The White House Fact Sheet(2026年9月) https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2026/09/fact-sheet-president-donald-j-trump-further-enhances-program-integrity-and-interagency-coordination-in-the-h-1b-visa-program/
- NYC Rules "Food Service Establishment Sanitary Inspection Requirements" https://rules.cityofnewyork.us/rule/food-service-establishment-sanitary-inspection-requirements/
一般的な情報であり、法律・税務・在留資格の助言ではありません。制度は変わるため、手続きの前に公式情報と専門家に確認してください。